尿失禁・頻尿

尿失禁と頻尿について

尿失禁と頻尿について尿失禁や頻尿は治療が可能な病気ですが、「誰もがなるもの」「歳のせい」「命に別状はないから」と見過ごされがちです。ただし、日常生活に支障が出てくるケースが多く、ストレスから解放されるためにも治療は有効です。不意の尿もれや頻尿の不安感から、旅行を楽しめなくなったり、外出を控えたり、スポーツを楽しめなくなる方は多く、引きこもるようになってしまうことも珍しくありません。生活の質(QOL/Quality Of Life)向上のためにも、お悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

急な尿意に襲われる尿意切迫感、トイレが間に合わずに尿をもらしてしまう切迫性尿失禁など、尿失禁と頻尿は症状などに共通項が多く、使用される薬もある程度共通しています。

尿失禁とは

尿意が脳から伝わってきた際に、膀胱にたまった尿を排出するか保持するかは自分の意思によって決定します。尿失禁では、こうした機能にトラブルが起こり、自分の意思とは関係なく尿がもれてしまう状態になります。

頻尿とは

排尿回数が過度に増えてしまっている状態です。明確な基準はありませんが、1日の排尿回数が日中8回、夜間2回を超えた場合を頻尿判断の目安にしていることが一般的になっています。この回数に満たなくてもご本人が普段より尿の回数が増えているとお悩みでしたら治療対象になります。

尿失禁の4タイプ

腹圧性尿失禁

咳やくしゃみ、重いものを持ち上げるなど、腹圧が急にかかった際に起こる尿もれです。日本では2000万人以上の女性が悩んでいるとされていますが、これは骨盤底にある骨盤底筋群という筋肉が出産や加齢などによりゆるむことが原因だとされています。骨盤底は臓器を下から支えており、この場所にある筋肉は排尿を司っています。筋肉がゆるむことで尿道口がしっかり締め付けられなくなって腹圧性尿失禁が女性には起こりやすいのです。

切迫性尿失禁

急に激しい尿意が起こり、トイレまで我慢できずに尿がもれてしまうタイプで、女性に多いのですが、男性の発症もあります。
過活動膀胱が主な原因となっており、十分な尿がまだ膀胱にたまっていない段階で尿意を感じています。膀胱を収縮させる筋肉がコントロールを失って発症しますが、その原因は脳や脊髄の病気、前立腺肥大症、加齢などがあり、原因がわからないケースも存在します。

混合型尿失禁

腹圧性と切迫性の症状を両方持っているケースです。中高年の女性に多くなっています。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

尿道が圧迫されると、尿が出にくくなって排尿後も膀胱に尿が残ります。この残尿が増えてコップから水があふれるように少量ずつ、不意にもれ出てくる状態です。
男性に多く見られますが、その場合、原因は前立腺肥大症によるものがほとんどです。女性では、骨盤内の臓器が膣や肛門から脱出してくる骨盤臓器脱でこうした尿もれが起こるケースがあります。

機能性尿失禁

運動機能が低下して自由に動けない方や、認知症などに起こる尿失禁で、排尿機能には問題がありません。歩行が困難でトイレまで間にあわない、トイレの場所がわからないなどのケースですから、介護といった観点からのサポートも重要になってきます。

頻尿の代表的な3タイプ

過活動膀胱

過活動膀胱膀胱を収縮させる筋肉がコントロールを失って発症し、十分な尿がまだ膀胱にたまっていない段階で尿意を感じます。その原因は脳や脊髄の病気、前立腺肥大症、加齢などがあり、原因がわからないケースもあります。
頻尿、急な尿意に襲われる尿意切迫感、トイレが間にあわずに尿をもらしてしまう切迫性尿失禁などが代表的な症状です。日本では800万人以上が過活動膀胱の症状に悩まされているという報告もあります。

残尿

排尿後も膀胱に尿が残ってしまい、新たに膀胱へたまる尿の量が減ってしまうために起こる頻尿です。膀胱を収縮させる筋肉のコントロールがうまくいかないことや、尿道の圧迫などによって起こります。原因となるものには、前立腺肥大症、糖尿病、脳脊髄疾患、内服薬(心療内科などの)があります。

病気や刺激によるもの

膀胱は病気や刺激などにより収縮して頻尿を発生させることがあります。尿路の感染症や炎症、前立腺肥大症、膀胱がんなどの泌尿器に起こる病気をはじめ、冷えなどの刺激で起こる場合もあります。
また婦人科疾患(子宮筋腫や卵巣嚢腫など)でも大きくなると膀胱を上から圧迫して起こることがあります。心因性の頻尿では、排尿機能には問題がなく、ストレスなどで気になってしまって何度もトイレに通ってしまうケースがあります。また習慣的に、尿意に関係なくトイレに通ってしまうケースもあります。

尿失禁と頻尿の治療方法

尿失禁と頻尿では治療薬などもある程度共通しており、ともに薬物療法を中心とした治療を行います。

抗コリン薬(抗ムスカリン薬)とβ受容体刺劇薬

神経に作用して、膀胱の筋肉の緊張を和らげます。これにより、膀胱の過度な収縮が抑えられ、排尿をコントロールする筋肉が尿道を強く締め付けられるようになり、尿失禁や頻尿の症状を改善します。副作用として、口の渇きや便秘が起こる可能性があります。
他の病気がある場合、抗コリン薬やβ受容体刺劇薬を使用できない場合もあります。たとえば前立腺肥大症がある場合、抗コリン薬は排尿障害を悪化させる可能性があります。
そのため、尿失禁や頻尿は泌尿器科の専門医を受診して、適切な治療を受けることが重要です。

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